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2020年民法改正で不動産はどう変わる(賃貸・売買)

2020年民法改正で不動産はどう変わる(賃貸・売買)

明治時代から改正されていないために社会の変化に対応できなくなったことが今回改正がされた理由です

また、専門家でなくてもわかりやすい民法をめざしたものになります

民法改正

民法改正の歴史

1896年(明治29年)『民法改正』

2017年5月26日 『民法の一部を改正する法律』制定

連帯保証など一部の改正があったが、内容面に渡る改正は手つかずでした

  • 急速に発展する社会・経済情勢の変化に対応する
  • 民法を国民一般に分かりやすくするものとする

2020年4月1日 『民法の一部を改正する法律』施行 ⇒  改正民法の適用が開始

 

改正された分野

民法には5つの項目があります

  • 第一編 総則
  • 第二編 物件
  • 第三編 債権
  • 第四編 親族
  • 第五編 相続

 

今回対象になる改正は

  • 第一編 総則
  • 第三編 債権

になります

 

2017年に改正民法が成立しており、2018年には改正が順次されているのが

  • 第四編 親族
  • 第五編 相続

は現在改正されていっています

 

不動産取引にかかわる民法変更

第一編 総則の改正点

錯誤

解釈に委ねられていた部分を明文化する

消滅時効

  1. 時効期間を原則として5年間に統一する
  2. 時効期間の起算日を
  • ①権利行使できることを知った時(主観的起算点)
  • ②権利行使できる時(客観的起算点)

 

第三編 債権の改正点

法定利率 年5%(商事:年6%)から年3%へ統一し、3年ごとに見直す余地を残す
(連帯)保証 保証人の保護を拡大・充実する(根保証における極度額の定め、保証人に対する情報提供など)
債権譲渡 譲渡禁止特約に違反した債権譲渡も原則として有効とする
債権不履行 損害賠償の免責事項や填補賠償の要件を整備する
相殺 相殺禁止特約に違反した相殺も、変則とおして有効とする

 

最近の低金利の時代のなか金利5%は高いということで年3%へ統一した

金利の変更は3年ごとに見直しがされるようになり、時代に合わせた債権の変更がなされているのが特徴になります

 

不動産取引に関する改正事項

定型約款
  • 大量取引のために定型的に用いられる約款や規約が契約内容となるためのルールを整備する
契約解除
  • 催告を要せず解除できる場合を整備する
  • 催告を要する解除を行う場合の要件を整備する
  • 解除の要件として債務者の帰責事由が不要になる
瑕疵
  • 契約不適合責任へと名称や性質が変更される。それに伴って請求できる内容や期間制限にも変更がある
賃貸借
  • 敷金・現状回復・修繕・転貸等に関する解釈を明文化する
  • 賃借人による妨害排除請求権制度を新設する

 

賃貸借における改正事項

  • 賃貸借(建物賃貸借・建物所有目的の土地賃貸者を除く)の存続期間が20年から50年
  • 不法占拠者に対する賃借人による妨害排除請求権を明文化
  • これまで規定になかった敷金に関するルールの明文化
  • 一定の場合に賃借人に物件を修繕する権利を認める
  • 物件の一部滅失で賃料は減額される
  • 物件の全部滅失で賃貸借が終了する
  • 物件の所有権が移された場合の賃貸人の地位の移転に関する処理を規定
  • 適法に行われた転貸に関する権利義務関係を確認する
  • 賃貸人の用法違反に基づく損害賠償請求権の消滅時効を完成猶予する

 

敷金に関する明文化

敷金の概念が民法にはなかったので明文化されています

敷金の定義はいかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭

保証金等の名目であっても、定義が該当すると敷金として扱われます

敷金の扱われ方

  • 敷金返還よりも先に物件の明け渡しを履行する
  • 賃借人が適法に賃借権を譲渡した時は敷金を精算する
  • 賃貸人は賃借人の債務を敷金から充当することはできるが、賃借人から敷金充当を請求することはできない

賃貸借の修繕における改正点

  • 賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当期間内に必要な修繕をしないとき
  • 急迫の事情があるとき

は賃借人が修繕を行うことができる(修繕権限)が認められる

賃借人による修繕を避けたい場合には、修繕の範囲・方法等に関する特約を定めることが望ましいです

※賃借人が消費者の場合、権限を制限する条項が消費者契約法により無効とされないよう注意が必要です

入居者が消費者の場合、消費者契約法に引っかかる可能性があります

賃貸借の場合、一部滅失の場合の賃料減額とは

改正前は一部滅失の場合、賃貸人の請求によって減額の効果が生じますが、改正後は請求は一切いらなくなっています

  • 賃借人の責任によらない一部滅失の場合は使用収益できない割合に応じて賃料が減額されます
  • 残存する部分のみでは賃借人が賃借した目的を達成できない場合には賃借人は賃貸借契約を解除することができます
  • 契約解除にあたり、改正民法では滅失が賃借人の帰責による場合でも解除することができる

 

改正民法の適用

施行日が2020年4月1日でそれ以前の法律行為は元の民法が適用され、それ以降の法律行為については改正民法の適用になります

例外のルールもあり、定型約款・保証意思宣明公正証書については施行日前の特別なルールが定められている

 

まとめ

改正民法においては民法の5つの編の中の2つが改正されています

  • 第一編 総則
  • 第二編 物件
  • 第三編 債権
  • 第四編 親族
  • 第五編 相続

第一編と第三編が今回改正されています

総則での改正点は時効が5年に統一され、起算日が

  • ①権利行使できることを知った時(主観的起算点)
  • ②権利行使できる時(客観的起算点)

になっています

債権の改正点は多岐にわたり、

  • 敷金の明文化
  • 賃貸人と賃借人の法律解釈

などがあります

ただ、特約などを設定する場合は消費者契約法で無効になる可能性もあるので、特約には十分注意が必要になります

新しい民法の解釈で新たなトラブルになる可能性も十分にあるので、契約行為には新たなトラブルについても十分に把握していく必要があります

 

ABOUT ME
佐藤 広明
(宅地建物取引士)神戸生まれ神戸育ち。13年前に独立して町の不動産屋を経営中。不動産売買・賃貸・管理・事業用不動産・任意売却など経験多数。ブラックな業界のイメージを少しでも払拭できるように情報発信しています。

マチ不動産株式会社